【大企業も疑われた】SDGsウォッシュとは?原因と未然に防ぐスタートアップを紹介

2021年度のSDGsに積極的に取り組んでいる企業は39.7%となり、前年に比べて15.3%も増えています。

 

特に、大企業では55.1%が意欲的にSDGsに取り組んでいます。

 

SDGsに取り組む企業が増えるなかで、SDGsウォッシュという言葉を耳にする機会も増えたのではないでしょうか。

 

そこで今回は、SDGsウォッシュの概要やSDGsウォッシュを未然に防ぐスタートアップについて紹介します。

 

参考:SDGs に積極的な企業は 39.7%、前年より大幅増加帝国データバンク

 

 

SDGsウォッシュとは

引用:2030アジェンダ | 国連広報センター



SDGsウォッシュとは、SDGsと体裁を繕うという意味のwhitewashを組み合わせた造語です。

 

SDGsウォッシュはSDGsに取り組んでいるように見せかけて、実態が伴っていない企業や組織を揶揄する際に用いられます。

 

グリーンウォッシュとの違いは、環境だけでなく人権などの問題に対しても適用される点です。

 

SDGsに取り組んでいる企業が、不当な労働環境で働かせていたり、焼き畑農業を行っている農家と関係を持っていたりするとSDGsウォッシュと指摘されます。

 

社会問題を解決するために別の社会問題を引き起こしている企業SDGsウォッシュと指摘されるでしょう。

 

具体的には、H.I.S. SUPER 電力株式会社によるパーム油発電です。

 

H.I.S. SUPER 電力株式会社では、発電の際に二酸化炭素などを排出しないパーム油を使ったバイオマス発電に取り組んでいます。

 

パーム油発電では、二酸化炭素を排出せずエコな発電ができますが、原材料のパーム油を調達する過程で環境破壊が起きる可能性があります。

 

地球温暖化を解決するための手段が、環境破壊を招く恐れがあるともいえるでしょう。

 

とはいえ、H.I.S. SUPER 電力株式会社では、環境破壊につながらないパーム油を使用することをガイドラインで表明しています。

 

※グリーンウォッシュとは、環境に配慮していると見せかけて、実態が伴っていないことを指す。

 

参考:SDGsウォッシュとは?回避方法も説明Youtube

   旅行大手HISも参入、「パーム油発電」の危うさ |東洋経済オンライン

SDGsウォッシュとみなされる原因

 

SDGsウォッシュとみなされる原因は、大きく分けて二つあります。

 

一つ目は、判断基準が曖昧なことです。

 

SDGsウォッシュには、明確な基準や法律が存在していません。

 

判断基準としては、国・地域の状況や個人の受け止め方次第となっています。

 

二つ目は、企業の規模とSDGsの取り組みが見合っていないことです。

 

企業の規模に対して、SDGsの目標が小さいこともSDGsウォッシュとみなされる可能性があります。

 

そのため、企業の規模に適した目標設定を行う必要があるといえるでしょう。

 

参考:SDGs Communication Guide電通

 

SDGsウォッシュの影響

 

SDGsウォッシュが発覚した場合、顧客や投資家からの信頼を失い、不買運動に発展する可能性があります。

 

ESG投資の市場規模が右肩上がりとなっているため、株価の下落が下落したり、金融機関からの融資が打ち切りになったりする恐れもあります。

 

※ESG投資とは、環境・社会・ガバナンスに配慮した企業を重視した投資のことです。

 

SDGsウォッシュと疑われた事例

 

2019年にファーストリテイリングが、強制労働させられたウイグル民族の綿製品を使っているという疑惑が浮上しました。

 

その結果、フランスで人道に対する罪に加担したとして捜査が始まったり、アメリカで輸入の差し止めが行われたりしました。

 

SDGsウォッシュとみなされた理由は、いかなる人権侵害も容認しないという方針との食い違いが発生したからです。



ウイグル自治区で生産された製品はないことが明らかになり、問題は収束しました。

 

参考:ウイグル問題で捜査、不買運動で業績打撃…アパレル難局朝日新聞

 

SDGsウォッシュを未然に防ぐスタートアップ

引用:

https://www.dreamnews.jp/press/0000254973/



SDGsウォッシュを見抜くスタートアップとして、Orbital Insightが注目を集めています。

 

Orbital Insightは衛星画像のデータを収集し、AIを使い集めたデータを分析している企業です。

 

サプライチェーンの監視や投資家の情報収集に活用されています。

 

実際に、紅茶のLiptonやパーソナルケアのDoveを扱うユニリーバでは、原材料の調達を追うために活用しています。

 

現地に行く必要がなく、リアルタイムでモニタリングできるため、データや情報を改ざんされる可能性が低くなるでしょう。

 

参考:伝書鳩TV | 宇宙衛星は見た!5年後「フェイクSDGs」はすべてバレる|NewsPicks

ユニリーバ、位置情報データと衛星画像を使用しサプライチェーンにおける森林破壊を確認|Orbital Insight

 

まとめ

 

SDGsウォッシュとは、環境や人権問題に対して取り組んでいるように見せかけて、実態が伴っていない企業や組織を揶揄する際に用いられます。

 

SDGsの発覚は、顧客や投資家からの信頼を失い、企業のブランドやイメージの低下につながります。

 

企業は会社の規模に見合うSDGsの取り組みを行ったり、国や地域の状況を常に把握するようにしましょう。